運動において、疲労は切っても切り離せないものです。
トライアスロンやマラソンのような有酸素運動は、継続的なトレーニングが欠かせません。
そこで見過ごせないのが疲労です。
疲労を無視してトレーニングしてしまうと、競技力が上がるどころか落ちかねません。
なお、本書では科学を標榜しているように馴染みのない用語が多いです。
読むのに結構苦労しました。
ポイント①:スイム、バイク、ランの順番には理由がある
本書では、なぜトライアスロンがスイム→バイク→ランの順番で実施されるのかについて言及しています。
筋肉が力を出す際に起こる筋収縮には、短縮性収縮(コンセントリック収縮)と伸張性収縮(エキセントリック収縮)があります。
詳しくは割愛しますが、前者が負荷が軽く、後者の負荷が高いです。
これをトライアスロンの各種目に当てはめると、
スイム、バイク…短縮性収縮
ラン…伸張性収縮
となります。
つまり、トライアスロンは身体への負荷が低い種目から高い種目へ移行しているわけです。
よく考えると、トライアスリートで故障している人の多くがランが原因としています。
(ランナーの故障も多いですね)
スイムやバイクで故障している人は、あまり聞いたことがありません。
筋収縮という観点からも、この状況は納得できます。
ポイント②:数字の盲信は要注意
トライアスロンでもパフォーマンスの数値化が進んでいます。
トレーニング負荷については、TSSが一般的です。
多くのトライアスリートが、GarminなどのデバイスやTrainingpeaksなどのサービスを利用しています。
TSSを利用した負荷や疲労の管理は非常に便利です。
しかし、限界もあります。
TSSだけ考えると、ある程度の負荷(IF0.7-0.8)で長時間運動することばかりを取り組んでしまいます。
なぜなら、それが最もTSSを高めるからです。
一方で、レペティションやインターバルといった疾走系(短時間高強度)はTSSは高くなりません。
よって、TSSばかり考えていると、疾走系のトレーニングをしなくなります。
これは、筋肉負荷と心肺負荷が異なることを表しています。
TSSだけでトレーニング負荷を評価する際には、気をつけたい視点です。
ポイント③:自分の頭で考える、検証する
このような理論を書籍を学ぶことは、とても有意義です。
と同時に、自分の身体との対話も疎かにしてはいけません。
理論は、あくまで理論です。
すべての人にあてはまるわけではありません。
人それぞれ、背景や身体の作りは異なります。
オーダーされたスーツと既製品のスーツのどちらが自分の身体にフィットするかは、聞くまでもないでしょう。
思考停止せずにオリジナルの考え方(トレーニング、疲労回復など)を検証しながら構築することが大事です。
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