インドアサイクリングに特化した著書は、今のところ(2021年11月現在)本書だけです。
新型コロナの流行によって、インドアサイクリングが一気に広まりましたが
・なんとなく乗っている
・気が向いたグループライドに参加している
・適当にワークアウトをこなしている
ような人もいるのではないでしょうか。(別に悪いことではありません。)
本書では、インドアサイクリングの知識だけでなく、トレーニングやTIPSなどを体系的に吸収できます。
著者はおなじみ、プロトライアスロンコーチ・Joe Friel氏です。
残念ながら本書の邦訳はありませんが、
平易な英単語、サイクリングやトレーニング固有の単語も多く、
そこまで読むのに苦労はしません。
サイクリングにおけるトレーニング理論は、著者によって過去に出版された
「The Cyclist’s Training Bible」
や
「The Triathlete’s Training Bible」
と大枠は同じです。
繰り返し出てくることは、それだけ重要だと言うことです。
知識の強化とインドアサイクリングの視点を加えて、さらなるレベルアップをしましょう。
なお、「50を過ぎても速く!」は邦訳されており、世代問わずに参考にできる書籍です。
ポイント①:ERGモードのメリットとデメリット
インドアサイクリングアプリで世界最多のユーザー数を誇るZwiftには、
ERGモードという負荷設定があります。
これは、ユーザーがペダリング負荷を調整せずとも、
スマートトレーナー側で負荷を自動設定して走行できる仕組みです。
Zwiftユーザーで使っている人も多いと思います。
自分で負荷を調整しない分、賛否両論のある機能ですが、
本書でメリットとデメリットが解説されています。
ERGモードが良いか悪いかはケースバイケースです。
まずメリットは、
高負荷は自力で出力することが難しいので、ERGモードでサポートしてもらうと良いということです。
実体験からも納得する部分ですが、
ある一定の負荷を超えると「思いっきりペダリング」するしかなくなります。
私レベルの貧脚には、高負荷を調整するような技術はありません。
ERGモードで自動調整されることによって、
ZwiftのL7、L6のような負荷に分けて出力することができます。
逆にデメリットは、
実走ではERGモードはないので、実践とは違ったトレーニングになる恐れがあることです。
ロングのトライアスロンであれば、長時間を一定のパワーで出力し続けることが求められます。
そこにERGモードのようなアシスト機能はありません。
実践で使えない機能は、トレーニングでも使うべきではないという観点からするとERGモードは不要です。
また、Zwift内の話で言うと、
ERGモードは負荷調整にタイムラグがあります。
よって、
短時間のスプリントインターバルのようなワークアウトには向きません。
ポイント②:インドアならではのリスクに備える環境
インドアサイクリングをやるにあたって、大事なのは環境づくりです。
スポーツジムでインドアバイクを漕ぐのより本気度は増しますし、実走とはまた勝手が違います。
最も重要なのは、室内の温度管理です。
インドアサイクリングは、
疾走による風のクーリング効果はなく、室温が高いと汗を大量にかきます。
汗を大量にかくと、
汗がロードバイクに付着し腐食、劣化する原因となります。
十分注意しましょう。
本書では、扇風機を設置して温度管理することが提案されています。
最初から自分に最適な環境を準備することは難しいと思いますが、
やりながら構築していきましょう。
ポイント③:サイクリストが犯しやすいミス
実走であれば、地形の条件などがあるので、
それに合わせたトレーニングになります。
一方、
Zwiftのようなインドアサイクリングはワークアウト(負荷)を自由に選ぶことができます。
ここで陥りやすいミスは、
中強度や高強度ばかりの偏ったメニューになってしまうことです。
スポーツのパフォーマンスは、追い込めば上がるわけではありません。
低強度・長時間、高強度・短時間、休息、栄養をうまく織り交ぜながら、徐々に上がっていくものです。
インドアトレーニングを始めると、
これまでできなかった高強度のトレーニングを増やしがちになります。
それをできた満足感で、また高強度をやってしまいます。
インドアトレーニングという新しい手段が加わっても、トレーニングの本質は変わりません。
コメントを残す